2021年03月22日

【し~なチャン便り 第9話】3月4日 秋田の「街づくり」 大好きなバス

秋田も春が近づいてきました。『街歩き』を楽しむシニアが増えています。カメラ片手に、徒歩あるいは自転車で移動し、FacebookなどSNSで『街歩き』の魅力を発信しています。

今回のゲストは秋田公立美術大学教授の小杉栄次郎さん。1968年生まれ、秋田市住。大学での専門は「建築・都市設計の理論と実践」。木質・木造建築の新たな可能性を追求している、私が尊敬する建築家でもあります。

小杉さんは、「NPO法人 team Timberize(ティンバライズ)」に所属。都市木造を中心に、「木」と「建築」と「都市」の近未来像を描く、という活動を県内外で行っています。木や木造建築の研究開発、展覧会やシンポジウムなどの普及活動を行い、都市木造の設計に携わってきました。
※人の手によって加工された材木、製材のことを「timber」という。timberizeは「timber」から考え出された造語。

秋田駅前が大きく変わりました。中央改札口へ続く駅東西連絡自由通路(ぽぽろーど)、新設の待合ラウンジ。いずれも秋田杉がふんだんに使われ、「秋田の玄関口」が新しい顔になりました。

今回の秋田駅リニューアルでデザインを監修したのが小杉さんです。JR秋田支社や秋田公立美術大、民間業者、県や秋田市などが協力した産学官連携の取り組み。この事業「ノーザンステーションゲート秋田プロジェクト」は2017年 ウッドデザイン賞で最優秀賞を受賞しました。

(新しくなった秋田駅前 小杉さん提供)

駐車場があった駅前西口前には「芝生広場」が先日お目見えしました。広場に残っていた雪もすっかり解けて、芝生の美しい緑がまぶしいくらいです。これもまた小杉さんたちが取り組んできた「新秋田駅」のシンボルの一つ。秋田杉など「木」をモチーフに一新した秋田の玄関口・秋田駅。そして『人が主役』のオープンスペースである美しい芝生広場。特にこの広場は「中心市街地で市民が自由にたたずみ、のびのびできる場所にしたい、という思いをカタチにした」(小杉さん)とのことでした。

し~なチャンYouTube

私はバスが大好きです。ついに秋田市の「コインバス」パスポートを手に入れました。このパスポートは65歳以上のシニアが対象で、「100円」で各路線が利用できる、という超お得モノ。番組では、私たちの「日常の足」としてのバス、理想のバスについて話がはずみました。

シニアに好評なコインバス、その一方で一般のバス運行については課題もあるようです。秋田市の市民アンケートなどによれば、バス利用率は残念ながら低迷しているとか。路線や本数の不足、遅れや乗り換えの不便さ…それとも?

「この背景には、マイカー利用が市民のライフスタイルにすっかり定着してしまった、ということがあるのではないか。『バスの乗り換えが不便だし、本数も少ないので、生活に自家用車は欠かせず、近所へ行くにも車で』ということになってしまっています。ただ、車を持たないシニアや子供たち、学生たちなど『交通弱者』と呼ばれる人たちの移動をどう確保するか。少子高齢化社会の今後を考えても、バスを含め、公共交通の在り方を見直すとき」

秋田は(日本一、いや世界一?の)高齢社会です。確かに、私の周辺には「免許返上してしまえば、秋田ではもうどこにもいけなくなる」という声も。ただ、シニアが増えてきている現状で、すべての人がこれまでのように『自家用車を利用し続ける』ということは現実的ではないようにも思います。いったい、どうすればいいのでしょうか。

(理想の秋田の街 小杉さん提供)

「今は秋田駅を起点とした旧来型のバス路線になっている。それを『秋田駅を経由しなくても、自由に乗り換えていけるバス』に変えていければもっと使いやすくなる。東京の地下鉄のようなイメージです。気軽に乗り降りして、あとは街歩きでも。乗り換えポイントでは利用者が楽しめる、時間をつぶせる魅力的なお店や交流の場を設ける。それはビジネスチャンスにもなるかもしれない。そんな街になれば楽しいですね」(小杉さん)。

皆さんにとっての理想の街、使いやすいバスってどんなカタチでしょうか?

記者プロフィール

西村修(にしむら おさむ)

元秋田魁新報記者。秋田ケーブルテレビ記者、ALL-Aアドバイザー

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