2021年04月12日

【し~なチャン便り 第12話】3月25日 「折り紙切り絵」に魅せられて

秋田の方言で「不器用」なことを「手ボッケ」といいます。プラモデルやジオラマが好き、と周囲には言ってますし、それなりにたくさん作ってきた私です。ただ、基本的に「手ボッケ」です。
例えば折り紙。代表的なものは「折り鶴」ですが、振り返ってみれば、これまでの人生で美しい鶴が折れたことはありません。今も孫たちにねだられて作ってみるんですが、どこかいびつで、不格好です。

先日、県内外の模型愛好家らが秋田市内で開催した「アート作品展」でのこと。主催者の一人、越前谷潔さん(本コラム第4話 ああプラモデルに登場)から、「プラモデルとは違いますが、すごいアート作品がありますよ」と紹介されたのが、平野裕(ゆたか)さん=秋田市=の「折り紙切り絵」でした。案内された先には、切り絵を施した一枚の折り紙でつくられた、息をのむような作品がずらり。

色とりどりの模様があしらわれた折り鶴。その翼の模様は、わずか1、2ミリの極細の線でつながった切り絵。桜の花びらや家紋、風神・雷神、ナマハゲ…中にはステンドグラスがちりばめられたようなものも。面白かったのは、折り鶴ならぬ「折り白鳥」。翼に施された切り絵には軽やかに踊る「バレリーナ」の切り絵。まさに「白鳥の湖」の一シーンです。

いったい、どうやって作るんだろう…「手ボッケ」の私には想像がつきません。3月25日の番組では、平野さんにゲストに来ていただき、「折り紙切り絵」の魅力をうかがいました。

平野さんは1949年、秋田市生まれ。日本デザインスクール卒業後、故郷に戻ってデザイン関連企業に従事。ただ、デザイナーとして長く仕事をしてきたものの、自ら作り上げたものに、いつも「何か違う」というひっかかりを持ち続けてきた、といいます。

「いつか、自分が納得できるデザイン、作品を自由につくってみたい」。そう思っていた平野さん。退職後、たまたま本屋さんで「折り紙」や「切り絵」の作品を載せた本に目が留まりました。いくつかの作品に「自分に似た感覚を覚えた。こうしたものを作ってみたい、と思った」といいます。もちろん、「折り紙切り絵」といったジャンルはありません。本の作品を参考にしながらも、「あくまでオリジナルにこだわった」と平野さん。

初めて「自分の作品」を仕上げたのは2017年。日本画が好きだった平野さんは「和」を強く意識しました。日本で古くから親しまれてきた「切り絵」と、日本ならではの文化である「折り鶴」の二つを融合させたんです。試行錯誤して作り上げた初めて作品は、「表に金箔、裏は朱色」の特注折り紙で折り上げ、繊細な和模様を翼の部分に施した「寿」の鶴。同じデザインの鶴は、息子さんの婚礼の際、新郎新婦のメーンテーブルはじめ各テーブル席に。参加者は一様に驚きの顔で美しい鶴をながめ、大好評だったそうです。

「模様や絵柄がどうやったら最も美しく見えるか。まず、頭の中で考えます。さらに、いろいろな角度から眺め、どこから見ても色合いがきれいになるよう意識し、模様の大きさや線を組み合わせるんです」

番組で、特別に「作り方」を実演いただきました。

①はじめに普通の折り紙で鶴を折る。
②これを一回広げて、「折り筋」をそのまま画用紙などに展開図にして書き写す。その展開図に切り絵をデザインし、鉛筆で書き込む。
③続いて展開図をトレース紙に書き写し、トレース紙の裏側に好みの折り紙を仮止め。後は展開図に従ってカッターで絵柄を切り抜く。
④最後に、トレース紙を外し、切り抜かれた折り紙を実際に折り直す。完成した時の色合いを考えて、絵柄を切り、繊細な柄が破れてしまわないよう、丁寧に折り進める。

※詳しくはぜひ動画(you tube)を見てください

「折り紙切り絵」に取り組んで4年。平野さんは楽しみながら、「自分の感覚」にあった作品を作り続けています。

「折り紙、切り絵は昔から日本にあるものですから、和柄や日本の風景がよく似合う。私の作品から、少しでも日本人の心を感じていただければうれしいです。一緒にやってみませんか」。

「手ボッケ」の私ですが…それなりに 頑張ってみます!!

シニア記者プロフィール

西村 修 (にしむら おさむ)

元秋田魁新報記者。秋田ケーブルテレビ記者、ALL-Aアドバイザー

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